往きて迷いし物語

もるあきがトールキン教授やPJ監督に翻弄されるブログ・『この世界の片隅に』備忘録

「メッセージ」記事まとめ

 記事をまとめたけれど、実は映画を観る前には一つも読んでなくて、というのもSF作品だってことは聞いていたので先入観なしに観たかったものだから。ばかうけみたいなUFO?が来て、どうやって意思疎通する?みたいな話です。予告も一回だけ観てオオ…ってなったのでその後情報を絶ってました。

 一般試写会の後でツイッターにすごくいいから観るべき!って意見が流れてくるともうじゃあいつ観に行こうかってなりまして、でも和歌山じゃ上映されない、少なくとも全国同時公開の枠には入ってないとなると大阪まで観に行くことになるのです。映画が遠くへ連れて行ってくれる、なんてことを言いますけど、この場合は実際に距離を移動することになるわけです。そして映画を観て、ああ良い映画だったとなるとやっと記事が読める、原作が読める。とは言え期待が大きすぎて観る前にパンフレットを買う始末。これは私にしてはなかなか珍しいです。

 感動したとただそれだけ言っていいのか、それこそ名前のついていない感情が突き刺さるというか揺さぶられるというか…。

 映画も原作もとても面白くて、だけど何か言おうとするとネタバレになるタイプの作品なんですね。ジェレミー・レナーのメガネ姿が良かったとかそういうのは言えるのですが。演技も良かったですよ。あの信頼感はほんとうに頼もしいですし、知的な役も似合っていました♡

 主演のエイミー・アダムスも難しい役を丁寧に演じていて、役としても丁寧に検証を重ねていくキャラクターだったのでピッタリでした。抑制の効いた演技でしっかり感情が伝わってくるのが素晴らしくて、この役ができる人はなかなかいないんじゃないでしょうか。あの空気感はすごかったです。

 ツイッターにも書いたのですがメインの登場人物というのが少ないので話を追うのに混乱によるストレスが一切ないんですよ。こいつは何のためにいるんだ? ってことにもならなくて、物語に集中できてとてもいいです。

 もうこんなところまで読むぐらいこの映画に興味があるんだったら、できるだけ早く映画館に行ってください。例によって記事やブログを貼りますが、どれもこれも映画を観るか原作を読むかどちらかだけでもしてから読むべきなので。もう何も見ないでそのまま行って。


(追記)
 メッセージにはなぜ人は何度も同じ映画を観るのかの答えがあるような気がするし、まったくの勘違いかもしれない。
…ってツイッターに書いてブログに載せようと思ってたのに忘れてたので今載せますね…。
 
メモ
arrivalの意味を辞書で確認。


映画「メッセージ」公式サイト
http://www.message-movie.jp

テッド・チャン「あなたの人生の物語」映画化&2017年日本公開決定!
ハヤカワ・オンライン 2016/09/09 12:06
http://www.hayakawa-online.co.jp/smartphone/news.html?date=20160909120623

◆映画.com
レベルが違う! 絶対に見逃してはいけない必見作!!  これほどまでに絶賛される「メッセージ」の衝撃と感動の正体とは? 映画.com編集長自らが名乗りを上げ、魅力を語りつくす徹底総力特集
http://eiga.com/movie/85583/special/

名作SF映画と徹底比較!「メッセージ」知的生命体は目的不明で神秘的
2017年1月3日 20:00
http://eiga.com/news/20170103/13/

ドゥニ・ビルヌーブ監督×エイミー・アダムス「メッセージ」本ポスター完成!
2017年3月11日 17:00
http://eiga.com/news/20170311/11/

謎の飛行体の目的は?ドゥニ・ビルヌーブ監督最新作「メッセージ」日本版予告編公開
2017年3月15日 12:00
http://eiga.com/news/20170315/10/

「メッセージ」知的生命体はどうやって作られた?来日中のドゥニ・ビルヌーブ監督が明かす
2017年4月14日 13:30
http://eiga.com/news/20170414/14/

「メッセージ」エイリアン登場シーンはあの名作を参考!ビルヌーブ監督の撮影秘話に樋口&前田監督興味津々
2017年4月15日 10:00
http://eiga.com/news/20170415/7/

メッセージ樋口真嗣前田真宏押井守解説映像
http://eiga.com/movie/85583/video/10/

「メッセージ」飛行体の形状は“ばかうけ”に影響された!ビルヌーブ監督が認める
2017年5月16日 17:00
http://eiga.com/news/20170516/13/
※ 実際には、太陽系を公転する実在の小惑星エウノミア(別名、第15番小惑星)を参考にし、「地球上にはないイメージで、人間には計り知れないように見せたい」というこだわりによってデザインされたものだという。

「メッセージ」×ばかうけ“公式”コラボポスター完成!販売会社社長「運命感じた」
2017年5月22日 19:00
http://eiga.com/news/20170522/19/


◆GizmodoJapan
映画『メッセージ』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督にインタビュー:「何らかの地球外生命体はいると思う」
2017.05.18 19:06
http://www.gizmodo.jp/2017/05/message-denis-villeneuve-interview.html

直感に突き動かされてデザインしたというのが正直なところですし、誰も見たことがない形状を目指して宇宙船のデザインは生み出したつもりだったんですけど、世界の反対側(日本)ではみんなが知っている形状だったなんてね(笑)。(※編集部注:日本では本作の宇宙船が米菓の「ばかうけ」にそっくりという声がたくさんあった)

あえて言うのであれば、フランスの漫画家メビウスに影響は受けていると思います。先日リサーチをしていて気づいたのですが、自分がもともと大好きなノルウェーの画家であるオッド・ネルドルムの絵に描かれている暗い雲が『メッセージ』の宇宙船と同じ形をしていたので、もしかすると彼の絵のことも無意識のうちに参考にしていたのかもしれません。自分でもときどき、どこからアイディアが来ているのかがわからないことがあるんですが、あの不思議だけど完ぺきな形状は何らかの形でメビウスとつながっていると思います。

 メメント・モリ


これより先はネタバレがあります。
◆映画.com

「メッセージ」の円形文字はどこまでリアル?言語のプロに聞いてみた!
2017年5月25日 13:30
http://eiga.com/amp/news/20170525/11/

◆WIRED
ハリウッド・映画・西洋──映画『メッセージ』が明らかにする3つの限界:池田純一レヴュー 2017.05.19 FRI 21:00
http://wired.jp/2017/05/19/arrival-review/
 私は映画を観てから原作を読んだのですが、その時に頭の中でイメージされた表義文字はアラビア書道がいくつも…奥行を持って重なり合ったものでしたね。テッド・チャンが想像したものはどんなものだったのだろう。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が『WIRED』日本版だけに語ったいくつかの「メッセージ」 2017.05.20 SAT 09:00
http://wired.jp/2017/05/20/denis-villeneuve-arrival/

映画『メッセージ』制作陣はいかにして「エイリアンの文字」をデザインしたか? 2017.05.20 SAT 11:00
http://wired.jp/2017/05/20/arrival-alien-alphabet/

これはコミュニケーションに関する作品であり、話し方や外見が異なる人(あるいは物体)に対する理解を深めるための努力を描く映画なのだ。

 トールキンファンはこういうの好きそうな偏見があります。

【ネタバレ注意!!】映画『メッセージ』は原作小説の「感動」を伝え切れていない:『WIRED』US版の考察 2017.05.20 SAT 12:00
http://wired.jp/2017/05/20/story-of-your-life/

ファロンが、細部まですべて理解するために小説を2回読んだということは、多くのことを示唆していると思います。まるで2回読まざるをえないよう、あえてそう組み立ててあるようにも感じます。

それは、物語や演劇や映画を、何回も体験することでその豊かさを理解することの価値を示しています。

 この記事を読んで改めて思ったのですが、原作をKindleで買ったのは失敗だったなと。端末だと紙の本のようにページをめくって「同時的認識様式」とやらを実感することができないじゃないですか…。さっと確認したいときも一枚ずつページをスワイプしてめくらなくちゃならない…これから買う人は是非紙の本をおすすめします。

SF作家ケン・リュウが語る、テッド・チャン、テクノロジーを描くこと、異文化をつなぐSFの力 2017.05.20 SAT 15:00
http://wired.jp/2017/05/20/ken-liu/
 時間がないので後で読みます(;´Д`)

◆CINEMATODAY
宇宙人と言語学者の対話描く『メッセージ』の美はこうして生まれた…ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が明かす裏側 2017年5月19日 23時01分
https://www.cinematoday.jp/news/N0091698


◆IGN
『メッセージ』という円環(の隙間) 
新城カズマが読み解くSFにおけるファーストコンタクトの系譜  2017年5月28日
 これも時間がないのであとで読む(;´Д`)

◆ciatr
映画『メッセージ』驚愕の秘話10選【宇宙船が着陸しなかった理由とは?】 2017年5月31日更新
https://ciatr.jp/topics/305768
 ジェレミーの名前…!

GIGAZINE
SF映画「メッセージ」の異星人の恒星間航行は非常に高いレベルで考証済み、監修したのは理論物理学者であのMathematicaの生みの親スティーブン・ウルフラム 2016年11月16日 20時00分00秒
http://gigazine.net/news/20161116-arrival-stephen-wolfram/
 なんだかよくわからないがスゴイ。

◆個人ブログ
映画『メッセージ』 - 我々自身、何をどう理解したのかというはなし。 farsite / 圏外日誌 2017-05-19
http://farsite.hatenablog.com/entry/message
 言語と思考の関わりについての「サピア=ウォーフの仮説」は以前軽く耳にしたことがあります。私が聞いた話はそれの前段階の二言語以上を話す人間はその時話す言語によって思考のスタイルが変わる、英語ならばアグレッシブに、日本語なら消極的に、といったものでした。でもサピアさんはそういう性格の違いじゃなくてもっと思考とか認知とかに影響してくる…、みたいなことを、言ってるんだと思います。Wikiにもまとめられていますのできちんと知りたい方はそちらを参照してください。サピア=ウォーフの仮説 - Wikipedia
異星人の表義文字を解読できるようになったルイーズにも変化が訪れ…。

(ちょっと自己完結しすぎてたので書き足しました)

#47『メッセージ』 ぼくはシネマしぇん! 2017年05月20日
http://www.hyuga.jp/blog/view/cinema/1371
 映画の最後はルイーズが決断/選択/覚悟したのですが、彼女の行動を言葉であらわすとしたらどれがふさわしいのだろうかと。映画を観た直後の私は「彼女の選択」という表現をしましたが、いくつかのツイートで「ヘプタボットで思考するようになった彼女には自由意思はないので選択ではなく覚悟を決めたのだ」という意見もありました。人間は自由意思をなくしてもなおあのように笑うことができるのだろうか? という疑問に答えてくれています。


「【至急】エイリアンの宇宙船ってどうやって動くんですか?」映画『メッセージ』スティーブン・ウルフラムのSF考証裏話 100光年ダイアリー 2017-04-20
http://100lightyear.hatenadiary.jp/entry/2017/04/20/124806
映画の科学考証を担当した物理学者がブログに書いた裏話を訳したもので、とにかくすごいんですが、私の知識不足のせいで1/10も理解できたかどうか…。しかし面白かったです。訳していただいてありがとうございます。


嵐とみる『メッセージ』 るこ 2017-05-26
 好きなブログさんでも『メッセージ』取り上げてましたヽ(^o^)丿急に雑な※例えが出てきたりするところも好きです。※居酒屋での会話という舞台設定にふさわしく、かつ、活発なやり取りや長文に疲れてない? 大丈夫? という適切なタイミングで挿入される、ということです。


スクリーンの中のスクリーン ヘプタポッドと人間を隔てているもの 2017/05/23 23:27
http://blog.livedoor.jp/pertinax/archives/52492732.html
 やっぱり映画は原作をとても尊重しているし映画として成立させるための仕掛けが怠りないな、と改めて感じました。
 この記事とは関係ないですけれど映画で年齢が変わったのはつまり原作の叙述トリックが使えないせいでもあるし…。でもやっぱりあれはああしなかった方が良かったななどと思ってもみたり…。


『 メッセージ』は人類を変える 添野知生 2017年5月31日 cakes
https://cakes.mu/posts/16397
 映画での変更点についての話になるほど、なるほどー! となりました。原点へ帰ることができるのはもはや他人の手によってでしかできない。たぶん。
 この記事とは直接関係ないのですが、映画のタイトルにつけられたArrivalの意味は、それらが到着した? ルイーズが到達した? それとも彼女が? 全部なのかしら。これをカタカナでアライバルにしてしまうと個人的には新幹線や飛行機が着く・着いたという連想をしてしまい意味がそれらの到着の一つに引き込まれてしまうので、メッセージというタイトルの方がそれらからのメッセージ・ルイーズの記憶からの・ルイーズが彼女にあてた、と無理なくトリプルミーニングになるので良かったなあと思います。感想や記事を検索しにくいですけど。


【ネタバレ・感想】映画「メッセージ」:ラストシーンの解釈・原作との違いを徹底解説 ナガの映画の果てまで 2017年04月13日
http://www.club-typhoon.com/archives/14594720.html
 ラストシーンではルイーズが別の道を選択することが可能だったのか、ではなく、しぶしぶ受け入れることにしたのか、幸せも不幸せも受け入れられると覚醒したのか、ということが焦点になるかと思うのですが、表情を見れば後者だとわかります。イアンがヘプタ語を取得できればなあと思わずにはいられないのですが…。
 この記事とは関係ないですけど(この枕詞多いな)映画『沈黙』の音響効果も素晴らしかったです。映画館で観ると映像も大きくてきれいですし集中できる環境ですし音響も家庭では再現できないレベルのものがサービスデーだと1100円ぐらいで楽しめてしまうこともあり、映画館というのは実にお得な施設なのです。


『メッセージ』 映画が避けてきたもの 映画のブログ 2017-05-23
http://movieandtv.blog85.fc2.com/blog-entry-597.html
 私もガーディアンズオブギャラクシーで非人間型の宇宙人があまり登場しないのは寂しいと思っていた。たぶんそれはロケットの孤独を浮き彫りにするためのものだろうけど、スターウォーズに出てくるような感じのがいてもいいんじゃないかって。でも撮影のために金粉を五度塗りされたエリザベス・デビッキはとてもキュートでした。それはさておき、映画をあまり観てこなかったので、非人間型に限らず、宇宙人とのファーストコンタクト・コミュニケーションを模索する映画というのはそんなになかった、というのは知りませんでした。『メッセージ』はたくさん映画を観てきた人の方が衝撃は大きかったんでしょうね。そういったことをこうして書いてくださるのはとてもありがたいです。

2CELLOSの"MAY IT BE"

@2CELLOS_Japanさんのツイート(https://twitter.com/2CELLOS_Japan/status/865522497684250627?s=09)をチェック

🆕2CELLOS最新🎥
最新アルバム『スコア』に収録された、映画『ロード・オブ・ザ・リング』の主題曲「メイ・イット・ビー」をアップ‼️

現実から架空の国へと時空を超えて展開されるショートムービー的な仕上がりに✨

👀ビデオを観る→
https://t.co/7RBs6Xhn31 https://t.co/8PR4g5FQRd

 懐かしい曲を演奏していただいて嬉しいです。PVも素敵です(*‘ω‘ *)

こうの史代先生のサイン会に行ってきました

 2017年4月26日、近鉄百貨店上本町店で行われたこうの史代先生のサイン会に行ってきました。『こうの史代作品展』が開催されるのでその初日に来てくださったのです。

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 展示は『夕凪の街 桜の国』から始まりましたが、後でゆっくりみようと次のスペースへ。『ぴっぴら帳』のカラー原稿に大興奮(*´`)服装の垢抜けなさからか作中では「オカメ」扱いされている(読者としてはまったく腑に落ちない!)キミちゃんの、すらりとのびた手指や脚の交叉が美しい…ぴっぴらさんやかなこさんもかわいくて最高でした。月並みな感想ですが、やはり生は迫力がありますね。それが『夕凪』をあとまわしにした理由でもあるのですが。

 『街角花だより』や『長い道』、『さんさん録』もページのチョイスがとても良かっ
たのです。このシーン私も好き! と言いたくなるページばかりで。会場はそれほど広くなく、展示も本物の原稿と複製原稿両方だったのですが、数が絞られていた分却って主催者の「ファンにこうの作品のどんな部分を見てほしいのか」が伝わってきたと思います。『夕凪の街 桜の国』以外はネタバレなしだったかな? 映画からのファンの存在も視野に入れられた展示でした。もし『この世界の片隅に』しか読んだことのない人でも、あの展示を見れば他の作品にも興味を持たずにはいられないでしょうね。
 のびやかな『ぼおるぺん古事記』の線画の楽しさ、そしてあのキャラのあのページを展示してくださって本当にありがとうございます☆彡 それにしてもボールペンで描いていてインクがダマになった部分がほとんどないんですよね…丁寧にペン先を拭いながら描いておられるのでしょうね。妻籠みの歌カラーページも素敵でした。
 空いている展示から先に見ていったので順番がうろ覚えなのですがこの次『日の鳥』でしたっけ…これもじわっとくる感じで、ええ、是非実物を見ていただきたいですね。『ぼおるぺん古事記』もそうですが『荒神絵巻』も着物でグッときますよね。『ギガタウン』はクスッとくる面白さで、生き物たちがかわいいなあいとおしいなあと。最後は『この世界の片隅に』でしたが、いったん引き返して『夕凪の街 桜の国』の展示へ。わりあい空いてるので自由に見ている人他にもいました。混んでたら横入りになってしまうのでやらないんですが。

『夕凪の街』は初めて読んだ時に落ち込みすぎてあまりちゃんと読めなかったのですが、今回展示で全部のページではないですが読むことができて、細かいところもじっくり見られて、もう一度きちんと読みたいなあと思いました。そして『桜の国』があってこその『夕凪の国』というのもよっくわかりました。あの夢みたいなシーンが本当に良くて泣きそうでした。
 そして『この世界の片隅に』またうるうると。


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 上本町から移動してテアトル梅田さんへ。『この世界の片隅に』は時間が合わなかったので別の映画を観たのですが、このような素敵な展示がされていました。このあとロフトでちょっとしたお買い物。

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 そして茶屋町MARUZENジュンクどう書店で『「あ・そ・ぼ」やで!』の原画展示も見させていただきました。表情も仕草もじつにイキイキしていてその美しさに涙せずにはいられませんでした。実はもう今原画展終わってしまってるのでもう少し早く感想書きたかったです…。

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 ついにサイン会! の前に喫茶店でお手紙を走り書き。焦って何回も書き直したわりに字は汚いし内容も「嬉しいです」「ありがとうございます」「素敵でした」みたいな内容の薄いものでしたが、実際こうの先生を目の前にしたら緊張して言葉がほとんど出なかったので、そんな手紙でも書いておいて良かったです。次の機会があったら家でゆっくり書こうと思いました。
 手紙を書き直していたので出遅れてしまって私の前に40人ぐらいは並んでいたのじゃないでしょうか。それだのにひとりひとりに絵を描いて軽くお話もして一緒に写真も撮らせていただくという丁寧な対応に感激しました。
サインというか絵の種類はギガタウンのカエルさんとウサギさん、こっこさん、ぴっぴらさん、大阪限定のモズから選んで描いていただけるスタイルだったのです。『こっこさん』はずっと前に図書館で借りて読んで、今引っ越してこのあたりの図書館にも本屋さんにもずっとなかったので読めなかったのがまさかの再販でぶわっと髪の毛が逆立つほど嬉しかったです。でも『ぴっぴら帳』も相当好きなのでこっこさんとぴっぴらさんのどっちか選べなくて非常に焦りました。物販にぴっぴら帳があればー! だけどそもそももう列に並んでるー! 
 それで『こっこさん』にぴっぴらさんを描いていただくことにしたのですが、係の方が「こっこさんを描いてもらわなくていいんですか?」と訊いてこられて、こうの先生が「さっきもこっこさんにぴっぴらさんの人いましたよ」的なことを仰って、「どっちも好きで選べなくて…」みたいなことを私は言ったと思います。言えたのかな? 「好き」ってちゃんと言えたのかな私は? もう記憶がやばくてですね、でも写真はちゃんとツーショットで撮っていただいて、そのあとお手紙も渡して「がんばってください」これはちゃんと言えたと思います。こうの先生が「がんばります」って笑って言ってくださったので。そうそう、ロフトで買ったインコのお手紙セットだったんですけどたぶんその鳥がかわいいとかそんなことも言っておられたような…インコ柄にして良かったヽ(;▽;)ノしかしせっかく喜んでいただいたのに変なタイミングで「がんばってください」って言っちゃったような…ウワー! 消えたい! アアー! でもお会い出来て良かったー! 拙いながらも好きの気持ちを伝えられて良かったです!!! 大阪に来てくださってありがとうございました!

 そういえばサイン会の列に並んでいる時に係りの人に「お手紙を渡していいですか、どなたかに預ける形でもいいのですが」と訊いたところきちんと事情がわかって対応できる方に確認に行ってくださって「サインの時に直接渡ししてください」って教えていただいて、本当にありがたかったです。近鉄百貨店上本町店のみなさま対応がとても丁寧で真摯であたたかかったです。本当にありがとうございました。記憶が曖昧ですので言葉遣い等もっと丁寧だったかも…とかあるかもしれないですが、ほんとに私は緊張するといちいち細かく確認しないと落ち着けないので丁寧に接していただけて嬉しかったです。

『ガウェインと緑の騎士』フルカラーコミック/キックスーター

 ブックマークを整理しようとしたところ、Wi-Fiの調子が悪くて途中で読むのをやめていたコミックを見つけました。Emily Cheesemanという方の”Gawain and the Green Knight”ー『ガウェインと緑の騎士』ーイングランドアーサー王の甥ガウェインが新年の宴席に突如現れた緑の騎士に奇妙な挑戦を受け…というお話をエミリー・チーズマンさん(発音が合っているかわからない)が漫画化・公開されたものです。

 緑の騎士のビジュアルがすごく好きなんです。

Gawain and the Green Knight | Emily Cheeseman

 そして偶然にもちょうど今この時期にフルカラーコミックを出版するためのキックスタータークラウドファンディング)が行われていたのです。2017年5月5日まで。

 

www.kickstarter.com

 

 おまけのコミックも気になるけれど、コンプリートパックでないとそれは読めないしそうするとお値段がハードカバー本30ドルの倍以上の70ドルになって、ちょっとお財布にきついのです。支援してる人もハードカバー本orコンプリートパックに二分されてますね。すごく気持ちはわかる! 悩んでる人が締め切り間際にどどっと申し込みしたらプロジェクト達成金額上回りそう。この方のコミックはとても好きだけど自分は緑の騎士のビジュアルにティン☆ミときただけでガウェインが嫁ってわけでもないしなあ。そもそも日本にも発送してもらえるのか…発送してもらえるとしてもアメリカからの発送なので別途送料はかかると思うのですが、そこは許容範囲です。あいにく今日はたいへん体調がよろしくないので、こういう時に決めるのは自分の経験上良くないのです。申し込みは5月5日までなので、もうちょっと悩んでみようかと思います。悩んで買おうとしたあげく発送対応してないってこともあるのかしら(;´Д`)予想外の出費があって買えなかったら気の毒がってやってください。

参考

Kickstarterで日本から支援するときの流れ解説 http://www.kickstarterfan.com/ordernotice/order @ksfanjapanさん

柊郷の領主ケレブリンボールの紋章をドワーフのナルヴィに作ってもらった

 先日2017年3月20日に開催されたHARUコミックシティ内トールキン作品プチオンリーにてペーパーを発行させていただきました。なんでこんなにへりくだっているのかというと原稿だけ作って主催の悠樹さんに印刷搬入配布を丸投げしたからだ。その節はたいへんお世話になりました。ペーパーを受け取ってくれた方もありがとうございます! 参加された方、あの膨大な量のペーパーを全部読めましたか? 私はまだです!

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柊郷の領主ケレブリンボールの紋章を作ってもらった

出典

トールキンによる『指輪物語』の図像世界』
ウェイン.G.ハモンド/クリスティナ.スカル 著 井ツジ朱美 訳 原書房
"THE HOBBIT CHRONICLES CLOAKS & DAGGERS" DANIEL FALCONER
Tolkien Gateway http://tolkiengateway.net/wiki/Main_Page

†紋章のグッズってかっこいいですよね! ほしい!
でも私の好きなケレブリンボールには紋章がないのです…。
「なければ作ればいいじゃない」悠樹さんは言いました。
なるほどな~!でも私に作れるのかな?紋章…参考書があるでもないし…
ありました。しかも持ってました『トールキンによる『指輪物語』の図像世界』

†エルフの家の紋章は四角□、男性個人はひしがた◇、女性は丸○。
位が高いほどモチーフの尖った部分が端っこに接してる部分が多い。
フィンウェは16個、フィンゴルフィンは8個、対称性を持っている等々。
これに従ってデザインすればいいのでは?

†しかし思わぬ伏兵が登場
ネットで調べたフィンロドの紋章が「竪琴と松明」柄
これって自由すぎるのではないですか?
人の子を愛し人の子に愛されたフィンロド様
その紋章を人間が作った可能性を

トールキン教授が残したという説もあるのです。

 

†それならケレブリンボールの紋章をドワーフが作っても問題ないのでは?
ナルゴスロンドに滞在していたからフィンロドに影響されるのも自然だし
エレギオンに移住してからは職人気質が幸してモリアのドワーフと仲がいい。
モリア西門の扉もドワーフのナルヴィと一緒に作りました!
ナルヴィが紋章を作ってくれてもいいよね…いい…!

ホビットクロニクルを参考にモチーフ探し。双頭のカラスのバックルが
クロスした腕っぽい。ケレブリンボールは「銀の拳」握り締めた手。
職人の拳には鎚が握られていたのでは…?

†というわけで、こんな紋章になりました。

いずれ持ち物に刺繍してみたいです。

  私が作った紋章はこんな感じになったんですけど、人様の作ったケレブリンボールの紋章も見てみたいです。フェアノール家っぽい紋章もかっこいいですし、他の方が鎚を握る手をモチーフにして作ったとしてもまた違う感じのものになりそうですよね。というわけでケレブリンボールに限らず、紋章を作ったら教えてくださると喜びます。

 しかし色も塗ってみないと刺繍できない~。

 イベント後にトールキンファンが集まって、ミニステージつきの会場だったので飲んだり食べたり歌ったり踊ったりしてとても楽しいひとときを過ごしました。音楽の途中で急に「お皿を割ろっか」と言い出したので店員さんがびっくりしていましたがそういう歌があるんです。カチャカチャトントン。

www.youtube.com

 

『沈黙』記事まとめ

 上映時間3時間に怯んでまだ観られていないのですが、気になる記事が大量に貯まっているので貼っていきます。早く観られますように。
 でも正直に言ってこの前観た『未来を花束にして』と『この世界の片隅に』(5回目)がとてもいい作品だけど重たかったので次は軽いものを観たいですね…評判いいのに地元では上映回数減らされそうな『マグニフィセント・セブン』とかサミュエル・L・ジャクソンが怪演しているという噂の『ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち』とか…。最近観た中では『ザ・コンサルタント』の洗練されたアクションと知的でいながら優しさにあふれるストーリーとに度肝を抜かれました。

 2017年2月15日、やっと鑑賞してきました。恐ろしく陰慘なのに映画として興味深くて引き込まれてしまいました。エンドロールに入った時には座っているにも関わらず眩暈がしました…。気持ちが落ち着いたら記事を少しずつ読んでいこうと思います。


日本の俳優が伸び伸び スコセッシ映画 | SERIES|WEB GOETHE|ウェブゲーテ http://goethe.nikkei.co.jp/article/126520518.html

映画「沈黙」原作をより深化 山根・清心女子大教授が解説
http://www.sanyonews.jp/article/485710

https://twitter.com/chinmoku2017/status/820827921187147778

映画『沈黙-サイレンス-』の特別映像をアップしました。監督、キャスト、遠藤周作関係者のコメントや映画のメイキング映像が満載です。
https://t.co/wP08co0hYX

【インタビュー】Martin Scorsese (マーティン・スコセッシ) はなぜ、『沈黙-サイレンス-』を映画化しなければならなかったのか http://fashionpost.jp/portraits/91615

【徹底考察】『沈黙 ‐サイレンス‐』が問うそれぞれの信仰のかたち ─ カトリック教徒の見地から
https://oriver.style/cinema/silence-review-2/

『沈黙』のキリシタンは、結局なにを拝んでいたのか? http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50887

原作 遠藤周作×監督 マーティン・スコセッシ『沈黙~サイレンス』映画評 by 藤原敏史 http://www.france10.tv/entertainment/6037/ @@france10tvから

窪塚洋介 「ローマ法王が僕の場面で大爆笑」…舞台挨拶で思いあふれ独演30分(デイリースポーツ) - Yahoo!ニュース http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170204-00000104-dal-ent #Yahooニュース

『沈黙』について 講演者:遠藤周作 再生時間:40分31秒 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/sp/book/112315/#b_section01

小野寺系の『沈黙ーサイレンスー』評:遠藤周作とスコセッシ監督に共通するキリスト教への問い  http://realsound.jp/movie/2017/01/post-3876.html @realsoundjpから

”スコセッシ教”の敬虔な信者、塚本晋也がアツく語った「沈黙」とマーティン・スコセッシ監督。今だから話せるアレコレ-- - シネフィル - 映画好きによる映画好きのためのWebマガジン
#沈黙−サイレンス #マーティン・スコセッシ #塚本晋也
http://cinefil.tokyo/_ct/17037472

窪塚洋介、デビュー時よりも反響大きい!ハリウッド出演作に「万年残る」 https://kaigai-drama-board.com/posts/4239 #AXNJapan

【インタビュー】まさに歴史的演技
窪塚洋介マーティン・スコセッシと『沈黙-サイレンス-』を語る http://fashionpost.jp/portraits/90149

遠藤周作に30年寄り添った弟子に聞く「沈黙」 http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/238739/012700229/?n_cid=nbpnbo_twbn

瞬きて、視覚
Mon.01.30.2017
『沈黙‐サイレンス‐』 実写化に必要なものは、熱意と技巧。
http://ocnis.petit.cc/lime/2664104


【解説 】マーティン・スコセッシはいかにして『沈黙-サイレンス-』を「宗教映画」の枷から救ったのか? https://oriver.style/cinema/silence-review-3/ @oriver_cinemaから

Topics:映画「沈黙-サイレンス-」 宣教師の苦悩自らに重ね バチカンローマ法王も関心 - 毎日新聞 http://mainichi.jp/articles/20170126/dde/012/200/002000c

マーティン・スコセッシ『沈黙 –サイレンス–』来日記者会見全文掲載
http://www.outsideintokyo.jp/j/interview/martinscorsese/index.html#.WIH3i2B_aV4.twitter

なぜゴクリ(ゴラム)を好きなのか考えてみました

トールキン Advent Calendar 2016』に参加しようと意気込んだものの、まとまらなくてグダグダしてしまっていた記事です。素敵な企画をありがとうございます。
http://www.adventar.org/calendars/1583/

"The Hobbit Facsimile First Edition"(ホビットの初版本の復刻版、暗闇のなぞなぞ勝負の筋が違う初期版)のネタバレがあります。


 小説『ホビットの冒険』、同じく『指輪物語』、映画『ロード・オブ・ザ・リング』三部作とトールキン坂を登ってきた私の一番好きなキャラクターはギムリですが、ゴクリもかなり好きです。
 ホビットを読んだ時はこれ(!)が指輪物語にまで出てくるとは思っていなくて、なかなか気持ち悪い生き物だなあ、と思っていたように記憶しています。エルフや神秘的な存在から与えられるのではなく、こういう生き物がずっと持っていた指輪を拾って我が物にするシチュエーション自体薄気味悪い心地もしていたかもしれません。その後指輪物語に出てきた時、フロドとサムの道連れとして登場した時には不穏な予感しかなく、あのただでさえ苦痛の多いフロドの旅路にあってゴクリの存在にはうんざりしましたし道案内が必要だから消えていなくなってもらっては困るしで、あの悲しい結末にはほっと安堵さえしました。小説を読んでいた当時は今よりずっとネガティブな精神状態だったもので、あそこまで指輪に囚われてしまったゴクリが救われるにはああいう形での解放以外もうどんな方法もないように思えたからです。その後、ガンダルフはゴクリをも助けようとしていた、という指摘をインターネットで拝見し、はっとしたものの、ガンダルフ特に白い方は俯瞰でものを見られる存在だからなあ…と片付け、最初の読書後の私自身のゴクリに対する感情は同情も少しはありつつ、嫌悪がまさっていたように思います。

 好きだと気づいたきっかけは三部作映画の二作目『ロード・オブ・ザ・リング 二つの塔』のエンディングテーマ、エミリアナ・トリーニ氏が歌う『ゴラム・ソング』でした。作曲は劇中音楽を手がけたハワード・ショア氏、作詞は脚本に携わったフラン・ウォルシュ氏という隙のない布陣。共同脚本のフィリッパ・ボウエン氏いわく、フランは「曲を聞いたら自然に歌詞が浮かんできた」と言っていたと。アイスランド系のトリーニを起用したのは英語とは異なるアクセントがゴラム(ゴクリ)らしさを表現するだろうことを期待した、とはショア氏の言葉です。(『二つの塔』エクステンデッド版特典映像「音と音楽」より)そしてあの美しく物悲しい歌が映画の最後に流れることになったのです。
 『二つの塔』はレンタルかNHKBSで観たのだったかな、面白いけれどとにかく長くって、内容もどんどん暗くなっていって(救いが全くないのではなかったけれども)ああやっと終わる…と、くたびれていたところに訳詞の字幕が飛び込んできて、最初は「これは誰の気持ちを歌ったのだろう…?」と訝しみ興味をひきつけられ、ハッとゴラム(ゴクリ)の歌であることに気づき、歌詞に紡がれたゴラムの深い悲しみと渇望に触れて、胸が苦しくなるほどでした。それ以来ゴラム(ゴクリ)のことが好きです。

 第一印象や描写の表面的な部分から、自分を取って食おうとしていたゴクリに同情するのはビルボがあんまり心優しすぎると思いましたし、ガンダルフがゴクリを憐れな奴だと言うのも灰色の彼でさえ並の人間よりずっと慈悲深くて、フロドもとびきり心が広く、サムだってずいぶん寛大に見える…なんて理由をつけて自分がゴクリ(ゴラム)を好きになるのを拒んでいたのですが、あの悲しげな歌声と歌詞が切なさと深い悲しみを訴えかけ私の中の「情け」を引きずり出してしまったのです。自分はそんなに立派でないから情け深い存在にはなれない、と思い込んでいた節があるのですが、歌をきっかけに、別に立派でなくても誰かや何かを憐れむ気持ちは持っていいんだ、と。むしろ何かのきっかけでゴクリのようにこそこそとしたずるい存在になるかもしれない自分だからこそ親近感を持って愛せる道を照らしてもらったような気がします。

 それより前からアンディ・サーキスの素晴らしい演技や、まるで本当に生きて存在しているものを撮影したかのようなCG処理の巧みな演出にもだいぶやられてはいたんですが、『ゴラム・ソング』がなかったら、私は長い間ゴラムのことを内心ではかわいく思い、自分に通じるものを感じながらも嫌悪しなくてはならないモヤモヤしたおかしな状態のままだったでしょうね。フロドにしぶしぶ従ってみせながら指輪を取ることしか考えていないゴラム(ゴクリ)に愛情を抱くことにためらっていた私自身が映画と音楽によって解放され、フロドやサムを応援し好きでいながらゴラム(ゴクリ)を可哀想だと思っていいんだ…愛しいと思っていいんだ…と、物語の複数の登場人物たちを同時に様々な感情から見ることができるようになったのです。ホビット庄から出たことのなかったサムがやがて灰色港から出発する船を見届けて帰って来たかのような飛躍…とまではいかないのですが、少しだけその翼のはじっこにつかまらせてもらって前より少し高いところから見られるようになったとでも言いましょうか。
 真に面白い物語というのはすじだけを追っても面白く、細部の様々な仕掛けに気がつくとなお面白く、視点を変えて楽しむこともできる、というのをここ何年か映画を観てたびたび実感しているのですが、『ホビットの冒険』『指輪物語』もまさにそのような作品で、その映像化作品である『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズが私の目を開いてくれたのは当然の結果とは言え、幸いなことでした。

 今年は"The Hobbit Facsimile First Edition"(ホビットの初版本の復刻版、暗闇のなぞなぞ勝負の筋が違う初期版)のなぞなぞの章を読みました。負けたゴクリが贈り物として指輪をくれようとしたけれどもその前に洞窟で落としたのをビルボが拾っていたので贈り物のかわりに洞窟から出る道を教えてくれる、という話だったのですが、ゴクリがバギンズを恨んだり盗人と罵ったりしないものだからビルボがよけい悪く見えるという…ビルボの暗黒面の描写はとても好きなんですけれども、反動でゴクリが妙に公正な――独自の判断基準で動いているけれど誰かに対して恨みや怒りを抱いていないキャラになってしまっていてちょっとつまらない感じなんです。小説を初めに読んだ頃ならこちらのいいやつキャラのゴクリの方が感情移入はしやすかったと思うんです。しかしそうするとなんで指輪棄却の旅に同行するのかの動機が薄くなる上に終盤の展開が今以上に割り切れない辛いものになってしまいます…このゴクリなら道を誤らないかもしれない…。しかしこそこそした気持ち悪いゴクリの方が物語が面白くなるし、指輪の恐ろしさを最後の最後に実感できる効果もありますし、ビルボの感じた「情け」を味わえるので良いと思いました。なんだかんだ最初に触れたものを最良と思ってしまいがちではありますが。

 後に『シルマリルの物語』の読書を薦められた際に、あの世界では神々やエルフが奏でる音楽や言葉に特別な力があるという設定を教えられて、それはすごくファンタジーだな…、と思っていたのですが、何のことはない、私も歌に魅了されて中つ国への道を踏み出していたのです。映画のスタッフ陣がトールキン世界のそんなところまで再現していたとはまさか思いもよりませんでした、というオチにて、しめさせていだきます。
 読んでいただいてありがとうございました!